理事長挨拶

みなさん、こんにちは。世界武術連盟理事長の石黒邦男です。平成23年(2011)にババべコフ先生の家族たちとともに、東京の新宿プリンスホテルの会合から日本拳法徒手格闘術世界連盟という名称で行動をはじめました。翌年の平成24年9月(2012)に、世界武術連盟を公式名称に改称して活動を続けて、まもなく、10年を迎えようとしています。10年という節目を迎えるときにあたり、ご挨拶申し上げます。

世界武術連盟は、武術の普及や教導の活動ばかりでなく、交流と評価、そして、そのことの認定を行うことを大きな目的としています。今から100年以上も前のころから、日本の武術を世界中に普及しようと行動した人達がいました。その後も、そうした行動は続き、世界中に日本武術の種は播かれました。しかし、20世紀の世界的な経済恐慌と世界大戦などの時代を経たいま、それら武術の芽は、大きな森や花畑にはなっていません。それでも、そのような厳しい環境の中を生き抜いて「われこそが最強の男だ」といってプロの“最強格闘家として名を挙げる日本武術を継承した外国人格闘家が現れたりします。このようにプロ格闘家として名を挙げる人たちばかりではない日本武術の継承者や団体があるのです。そのような人たちは世界中にいるのです。しかし、そうした人たちのほとんどは、日本との交流が絶えたままです。山籠もりをする武芸者のように、師匠から受け継いだ技を次の世代に伝えることを使命として生きる人や、地域の武術として立派な組織に発展しているケースもあるのです。そうした人たちや団体の中には、日本との結びつきを願っているケースもあるのですが、日本と結び付く機会がなかなか無いのが現実です。世界武術連盟は、ネット社会をえたいま、ネットを通じてでも、そうした日本武術愛好者や団体との交流を育みたいと思います。日本武術を通して、日本文化に触れる、学ぶ、ことに手を貸します。そのようにして世界に散ばっている日本武術愛好家たちと手を取り合うことからも世界武術連盟という名称にふさわしい活動ができると思うのです。日本とのつながりのひとつとして、日本の文字で、日本伝統工芸の和紙の認定用紙で、あなたの実績や能力にふさわしい段の認定証の交付を受けられるようにします。あなたの努力や、積み重ねた成果を日本語で認定してさしあげようというものです。どのようにして申し込むのかなどは、世界武術連盟のウエブサイトbu-jyustsu.orgの「兵法」(HYOUHOU)を見てください。

あなたが、世界武術連盟とつながることで、日本を身近に感じるようになることを期待しています。いま日本は、おおきな変化の波を迎えようとしています。日本ばかりでなく世界中が変化の波を迎えるのです。世界は、これまでに無かったような変化を経験することになるのです。これまで常識とされてきたことが、まったく違うようになるでしょう。そのような変化の波の中でも変わらないもの、それは、伝統的なことです。変化の波の中で悠然としていられる人は、変わることのない伝統文化の実践者です。日本の伝統武術を実践探求する世界武術連盟とつながる人々は、どのような変化の波が寄せて来ようとも、悠然として日々の研鑽を続けることで、向上し続ける自分を発見することができることでしょう。

令和元年9月1日

世界武術連盟 理事長 石黒邦男